かわかみ建築設計室

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木曽路の古民家の相談

先日、中山道の木曽路の宿場町贄川で使われなくなって久しい町家の相談があって、現地に向かった。
それは宿場の中程に佇んでいて、雨の中迎えてくれた。

贄川宿の町家の外観

町家の外観

道に面して「出梁造り」で、「アガ持ち」という深い軒の出ている見事な平入りの町家である。
「アガ持ち」はかつて旅人がその軒先で一休みしたスペース。其々の家の前が我が持ちものだと言う意味で呼ばれたおもてなしの空間である。

格子戸を開けると、通り土間と上がり鼻から二間が奥まで4部屋並んでいる。

贄川宿の町家(通り土間)

贄川宿の町家(通り土間)


中程には18畳の吹き抜けのオエがあり、正面鴨居上に広い神棚が、板の間の中央には囲炉裏が穿たれ、黒く光った自在鉤が下がっている。

贄川宿の町家(座敷)

贄川宿の町家(座敷)

奥のお勝手や和室の向こうには中庭が縁側越しにあり、古木で手入れが行き届いた赤松が屋敷全体を見守っているかのようだ。

贄川宿の町家(座敷)

贄川宿の町家(座敷)

江戸後期に建てられた町家と見た。

台所やお風呂などは時代に合わせて改装されているが、創建当時の様子はしっかり残っており、木道具や造りは見事である。家財道具の他に古い書籍や掛け軸が格式を伝えていた。

とはいえ住まなくなって25年、築150年以上も経っているのでヨロビや不陸があって根本的に手入れが必要である。

急いで間取りを測って写真に収めた。

先ずは価値の確認から今後の使い方を考える。
歴史はあっても木曽路である。不便と寒さは尋常ではない。
直して使える様にするにはかなりのお金もかかる。

はてさてどうしたものか…。

とにかく素晴らしい建物であることと、思いつきの使い方を提案して困惑した相談相手を残して事務所に向った。

歴史を活かして新たな利活用をするための「再生」こそが必要だと切に思うのだが…。
欧米の様にここにしかない価値を再認識し、誇りと責任を自覚して継承のお手伝いをしたいものだ。

川上

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松岡フラスコ
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