春を待つ安曇野
三月に入って安曇野は春を待っているかのようだ。
散在している民家を見かけるが、屋敷構えの一つに付属屋として土蔵がある。
土蔵を壊してそこに物置と車庫を作りたいという相談で伺ったが、まさに土蔵こそ目的にふさわしいと提案して直すことになった。
周りはまさに春を待つ安曇野そのものだ。
枯れ草の田畑の中に屋敷林と道祖神ならぬ大黒様が豊作を願って出迎えてくれる。
現場に着くと近くに住む左官屋さんのご夫婦が丁寧に漆喰を塗っている。
挨拶をすると、「久しぶりだよ漆喰は、どんどん図面に書いておくりや」と壁に向かって鏝を動かしている。
まもなく古い土蔵が車庫と物置として新しい役目を持って生まれ変わる。
川上