松本市景観シンポジウムと安曇野屋敷林フォーラム
新年にまちづくりやまち並みの二つのシンポジウムがあって、
パネリストとして話すことになった。
日頃一つの建物を設計する際、まずお施主さんのことを第一に考えるが、
同時にその環境や周辺のことを考える。
住宅であれお店であれ、ひとたびそこに出現すると多少にかかわらず周りの人に影響を与える。
すんなり行けばいいが、なかなかそうはいかず違和感を持っていつまでも建ち続けることが多い。
我々はしばしばその矢おもてに立たされる。
人工的な建築や環境づくりはしばしば景観として意識されるがゆえ、
かなり真剣に対処するのだが…。
松本の景観フォーラムは建築事務所や設計士が景観やまちづくりを大きな問題として捉え、
勉強・提案・誘導・実践そして反省を繰り返しシンポジウムをやってきて32回を迎えた。
当初から関わってきたこともあり、今年は過去32年の活動を振り返って、
多くの市民や専門家とこれからのまちづくりを考えようというものだ。
もう一つは安曇野の屋敷林である。
松本平や安曇野は周囲を神々がつくった雄々しき連峰に囲まれ、平地の田畑や民家は
先祖が時間をかけて築き上げてきたもので、その一つに屋敷林がある。
民家を守る防風林と神様が棲む鎮守の森が悠久の時を刻んでこの地ならではの
独特な美しい景観を保っていた。これが危機に瀕している。
神や御先祖が守り育てて来た宝を今や現代人が破壊しているとさえ思う。
心ある地元の有志が集まって、保存を含め今後の安曇野の景観を考えるシンポジウムである。
景観フォーラムは松本あがたの森で1月26日(日)の午後2時から。
安曇野屋敷林フォーラムは安曇野市庁舎で3月18日(日)午後1時半から。
自分も身近で切実な生活環境問題を考える良い機会だと思う。
川上