蔵の改修
松本の郊外、北東の山裾には昔からの集落があり、古い屋敷には土蔵が残っている。
ここで御先祖から受け継いだ土蔵だけでも残したいとの相談があり、改修工事を進めている。
まず基礎をしっかり固め、建物全体の歪みやヨロビを直してから屋根瓦を葺き直す。
それから木工事を進める。
土蔵の工事で特に仕事量が多いのは左官仕事だ。外壁は漆喰やなまこ壁を全て塗り直す。
とはいえ、暮れも迫った寒いこの時期。水仕事はできないので、この日は傷んだ腰瓦を剥いでいた。
左官屋さんは足場の上で黙々と壁に向かっている。
お金も手間も時間もかかる。お施主さんの思いや理解ももちろん必要だ。
そこに職人すべてのワザと心が一丸となってひとつの仕事が完成する。
来年の春、足場が取れれば全容の姿が現れる。
川上