かわかみ建築設計室

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民家の相談アレコレ

民家再生の仕事をして40年を過ぎた。勿論新築の方が多いがそれも民家に学ぶ家造りである。今まで450件、内150件程が民家再生で300件が新築となる。
『民家レスキュー隊』を名乗ったおかげかここに来て民家の相談が増えた。相談の問い合わせにはとにかく先ず現場に出向いて現物を見る。そして話を聞く。悩んだり迷ったりしていることがよく分かるが仕事には結びつかない。工事進行中もあるが。

①離れの繭蔵の活用方法は?

繭蔵

屋敷内にある築110年の繭蔵を、
趣味を活かしてこぢんまりと離れに改修したいが・・。

外観は良いが、繭蔵故実はかなり脆弱なのだ。
それに天井が低い、断熱性も耐震強度もない。水道も電気もない。
治すことは可能だがそれなりにお金もかかる・・。

繭蔵

とは言え壊すことはやめて、とにかく利活用をよく考えてほしいと、
アドバイスをして帰った。

②離れの土蔵を立派に治してあるが・・

土蔵

生前義母が大切にして、海鼠壁の漆喰で治してあり
その遺志を継いで土蔵を離れにしたいが・・。

見るからに立派な味噌部屋付きの土蔵である。
蔵戸を開けて中に入ると木組も仕事も立派で、築130年程であることが分かる。

しかし建物全体が傾いている!
敷石をしっかり積んである米蔵であるが、地盤が悪く経年変化による不動沈下である。
傾いたまましっかり修理してある・・。

民家を健康にしながら利活用を計りたい立場としてはこのまま再生するわけにいかない・・。
治すにはかなりお金もかかる・・。

とにかくこの立派な土蔵を大切に守ってほしいとまたアドバイスして帰った。

③離れの蚕室を将来再生して使いたいが・・。

蚕室

2年前からご主人がアメリカ人で奥さんが日本人のご夫婦が
古民家付きの広いお屋敷を購入されて再生計画が進んでいる。
まず一期工事として主屋の一階と土蔵が終わり、2期工事が進行中である。
いずれ庭も含め屋敷全体の再生を計画している。

残る離れの蚕室はかなり傷んでいて解体してもいいかと思うのだが、これも再生したいという。
一族皆で豊かに田舎暮らしをしようというもの。

土蔵の再生

再生案は既に提案済みで納得している様だが、
このご夫婦は日本文化の本質を日本人以上に理解していると思われる。
それにしても時間とお金がかかる。できるだけのことをしたい。

④民家レスキュー隊による只今民家の再生中。

茅葺民家の再生

筑北村にある築120年程の茅葺きの古民家をIターンの家族が購入し再生して移り住みたいという相談が実現して、工事が進んでいる。
お施主さんを含め地元の若い職人ばかりが携わっている。僕以外は・・。
ここでの生活のアドバイスもしてて頼もしい。

茅葺民家の再生
茅葺民家の再生

この4月から住み始めるので工事は急ピッチで待ったなしである。
色々と機種や内装はそれぞれの提案を信用してもらい進めるしかない。責任と期待が入り混じる。

職人は皆一丸となってやっていて頼もしい。
考えてみれば理想的な進み方だとも思う。
出来上がってからの付き合いが待ち遠しい。

⑤只今土蔵の移築再生中

土蔵の移築再生

昨年暮れから始まった大きな築130年程の土蔵を解体移築再生して
ワイナリーを造るという工事がこの4月完成を目指して進んでいる。
幸いにも地元で大工さんはじめ腕のいい職人達が携わっている。
土蔵はなんといっても牛梁の木工事と左官漆喰仕事である。

皆の気持ちが一丸となって出来上がりが楽しみである。

土蔵の移築再生
土蔵の移築再生

ともかく色々悲喜交々だが、民家の未来がこの延長にあって欲しいと願っている。

川上

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松岡フラスコ
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