かわかみ建築設計室

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今年の民家再生

民家再生の仕事が続いている。
今年もここまで2軒の大きな民家の再生工事が完成した。
築130年のお寺の耐震改修と築110年の山里の診療所である。

先ず松本の街中にある古刹のお寺の大改修である。新築木造ではとても困難であるし、もし出来たとしても工費は4倍、技とその材と貴重な歴史の証明はとても再現できない。
単にお寺だけの問題ではない。この国の建築文化の問題だ。

本堂の耐震補強、不陸とヨロビ直し、劣化部分の補修、断熱化、照明、空調、建具や畳の取替等、時間をかけて大工事は慎重に進んだ。
工事に充てる貴重な寄付金は住職の熱意と責任感、檀家さん等の理解である。
完成を見た住職は勿論、檀家衆、職人等の達成感も肌で感じた。

もう一つは信州の山里に佇む村医者の民家医院である。後を継ぐものがなくて売りに出たが、奇しくも探し当てた都会の働き盛りのお医者さんがそこを譲って、ここで再開院するとのこと。


然も荒れた田畑も使って農業もやりながらという。
恐らく採算は立たないだろう・・。
長屋門と土塀に囲まれた広い屋敷には大きな主屋を中心に幾棟もの土蔵と立派な庭があった。近隣の住人に聞くと、先代も奇特なお医者さんで今回もそんな先生が来てくれて『本当にありがたい!』という。


再生設計とは元を活かすのは勿論、何もしなかったように職人と共に精一杯取り組むことである。それがやり甲斐にもなる。
工事が終わって敷地を眺めると、綺麗になっただけで何も変わっていないと思うありようである。
一抹の寂しさと安心を残して新緑の山里を後にした。

川上

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松岡フラスコ
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