味噌蔵再生
松本で幕末の慶応四年創業の味噌醸造店がある。広い敷地内には総二階建ての3年味噌蔵があるが、老朽化や腐食も進み、強度不足で危険な建物となっていた。
依然から何かと相談されていたが、限界との判断と国の補助金の助けもあって再生工事をすることになった。
蔵は90年程前に当時は当たり前に古材を使って解体移築されたものだとわかった。
恐らく築130年以上の建物だ。
経年劣化で痛みも傾きも酷く、工事は技術的にも金額的にも困難を極めた。
このリスクでは前例が無く、請負ってくれる工務店が見当たらない中で、何とか一社説得出来た。
其れからは先が見えない中でも工事を進めることができた。
解体、基礎工事、ヨロビ直し、大工、左官、建具工事と、職人さん皆で知恵や工夫を重ねて足掛け半年、ようやく今日は足場がとれた。
特に現場監督の誠意と努力があっての結果が目の前にあった。
設計の範疇はとっくに超えて見事な業績である。
完成まであとわずか。やればできる。そして感謝である。
川上