かわかみ建築設計室

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その9  民家の寿命は人の6倍

今でこそ民家は少なくなってしまった。そのほとんどが木造で、孫末代までも使い続ける様にとしっかり造られていた。何度もいうが・・。

一般的に『民家』は雨風に晒され傷まない様にと軒は深く、高さも抑えて、使われ方も手入れも欠かさず大切に使われた。

ところで木材は火事や虫が付かなければ寿命は恐らく500年以上だ。社寺は造りも材料も特別だから1000年は持つが、民家はそこまでではいかなくてもその半分は持つ。

人の寿命を90歳とすると民家は約6倍の540年となる。逆に築120年だと人間ならまだ20歳の青年だ。築200年以上の古民家でも33歳となり、それを壊すとすれば若い青年を殺すようなものだ。貴重な記憶も残らないしそもそも残虐だ。

もし新しくするなら民家以上の価値があるモノを造るべきで、そうでなければ活かして使い続けるべきだ。せめて建物のお葬式をするべきだろう。

昨今の人間の理不尽さも遠因はそこにあるのではとさえ思う。

昨今は木造ばかりでなく鉄やコンクリートの建物も寿命が来る前からドンドン壊し、解体屋さんは忙しく、粗大ゴミの置き場もなく、『解体キングダム』の放送で姦しい。

同時に流される地球温暖化防止とSDGsのかけ声は天に唾するが如きではないか?。

未来のことを真剣に考えるなら、ともかく寿命は長く価値ある民家を再認識しあらゆる意味で大切にしたいものだ。

川上

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松岡フラスコ
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