辻邦生山荘見学会
40年以上前に軽井沢の三笠別荘地に建てられた、作家の辻邦生山荘(設計:磯崎新)を見学。
文学に造詣の深いお施主さんから勧められていたのですが、ようやく機会にありつけました。
過去には磯崎さんの作品集で故・宮脇愛子のアトリエ、磯崎新の書斎などと合わせて「軽井沢アスカ山荘」の名前で発表されています。今回の参加者はほとんどが辻作品のファンで、大きなカメラを首からさげて建物ばかりをジロジロ眺め回る不審者は私一人でした(内部は撮影不可なのでじっくり目に焼き付けました)。
極端に低い玄関ポーチから建物に入り、本に囲まれた暗く細長い玄関を抜けると、目の前には下にダイニングとさらに一段下がったリビング、上には夫妻それぞれの書斎で構成された立体的な空間が広がります。9尺(約2.7m)の立方体を空間の単位とした構成ですが、4畳半とは思えない豊かさがありました。
磯崎さんは作品集の中で、木造・下見板張りの「バラック造」と自嘲した、などと回想していますが、建築を見てゾクゾクする体験は久しぶりでした。
山田