ヨロビとフリク
民家再生の仕事が続いている。
かつては新築が多かったが今では古民家の相談の方が多い。
今はブームなのか、
何時も当たり前のしごとになればいいのだが
いい傾向だとも思う。
ところで築100年を超える民家は流石に傷んでいる。
長い間に地面は凸凹になったり、
上に載っている家は傾いたり下がったり土台が腐ったりと
創建当時の健全さは滅多に無い。
その上かつての間取りはとても不都合である。
それでも何とかしたいと相談が来るのは
懐かしさ以上に何とも言えぬ価値を感じるからなのでしょう。
昨今は間取りのことばかりで直ぐにプランを直す傾向にあるが、
実は先ず建物を健康に戻す事が最も大切だ。
設計としては現地に行って建物の現状をよく調べ、
何をおいても先ず建物を水平と垂直に戻す事である。
建物の全体が傾いているかを見ることをヨロビを見るといい、
床が水平であるか調べる事を不陸を見るという。
先ずヨロビと不陸である。
それを治すには先ず工事費がかかるが納得して覚悟してもらわなければ先に進めない。
その上で着工するのである。
こうして無事再生なったものは健やかになり、
恐らく更に100年以上は大切に使われ続けるのである。
お施主さんに感謝されて大切に使われているのを見届ける事は何よりのご褒美である。
川上