インターンシップ
毎年夏のこの時期、建築学科の大学生が自主的に我が事務所に来る。
制度として選択科目にしている大学もある。
今年も地元出身の学生が建築の設計を学びたいと訪ねて来た。
当事務所でも現在二人の所員が以前研修に来て、その後勤めている。
先ず、線と文字を鉛筆一本でひたすら描いてもらう。
その後、彼女の自宅の間取りと外観を手描きで正確に製図して、それをもとに改修案を自由に考えてもらう。
それを親に見せて、直した玄関やリビングの内観パースを描く。
内観パースは設計の内容がこれなら良いと納得してもらうための手法のほんの一部であるが、これがなかなか上手くできない。今時の学生は模型やコンピュータのイメージ画像ならかなり上手くつくるが、いざ手描きとなると戸惑いは隠せないようだ。
未熟な図面にかなり辛口のコメントをぶつけると、チョットめげたようだ。
逆に自分は手描きならともかく、器械ではできないのだが…。
でも黙々と何とかしようと図面に向かっている姿は微笑ましい。
途中で時間を見つけて我が事務所でやっている住宅の工事現場へも連れて行ってみた。
目つきがいい。
「やってみせ 言って聞かせて させてみせ 褒めてやらねば 人は動かじ」
とは軍師山本五十六の狂歌だが、まさにその通りだと思う。
ともかく一人でも若い人がこれからの時代に向けて建築の設計という仕事を難しくても面白くてやってみたいと思うようになってもらいたいものだ。
そうなればこの国の建築の未来に向けて、希望が湧いてくると思うのだが…。
彼女はこの夏休みの3週間をここに来て学んでいるが、今週で終わる。
いい経験になって欲しい。
川上