茅野の民家 土蔵の牛鼻
茅野の民家では、上棟式が済んだ頃、土蔵ではしっくいの仕上げが始まりました。
既存の土蔵には、棟木が妻面に出るのを隠す「牛鼻」という部分があったのですが、長年の風雨にさらされてしっくい部分がすっかりなくなっていました。お施主様は、「家を守ってくれる「ヤモリ」にしたい」とのこと。
早速事務所にあった家紋辞典を隅から隅まで引きました。ところが、蝶や巻き貝、二枚貝、北斗七星、鳥居から五徳まで何でもあるのですが、ヤモリは一向に見当たりません。
とうとう、ヤモリの写真を見ながら、一から手で書くことになりました。
現場で牛鼻部分の直径を測って、描いたヤモリをスキャンして清書して、下絵を現地で確認して、左官屋さんに輪郭をとってもらって、厚みを出してもらって完成です。
完成後よく見ると、ヤモリに目が付いているではありませんか!それに、口元も本物のヤモリのようにぷっくりしています。左官屋さんの技と心意気に、つい私の心も躍ってしまいました。
石田