秋の研修
事務所の研修で萩と広島に出かけた。
「和のルーツを訪ねて」である。
萩の山肌は松枯れを起こしているかジャングルになっているかという状態で、信州人からすれば山とは言えぬ。これではクマもタヌキも歩けまい・・。
36万石毛利家の城下町、松下村塾などに残る明治維新の胎動は今も色濃く残り、歴史の深さでは松本は及ぶべくもない。
とはいえ観光でしか食えないものかと萩の行く末が案じられた。
門司港のレトロも「文明開化祭り」のような賑わいだったが、当時のストックがすごい。
とはいえもう一度平成開化は期待できまい。
広島平和記念公園では祈りのランドスケープが滲みた。
もみじ饅頭をほうばりながらの厳島では、大鳥居の朱の鮮やかさの中にも平家のロマンと哀れを引きずった。
最後に見た村野藤吾の世界平和記念聖堂の建築の存在には、感謝と自分の無力を感じた。
戦後初めての重文となってよかった。残されるべき建築だ。
いずれもこの国のかたちを未来に向けて発信しているものばかりだった。
建築を通してもう少し何かをしなくては・・
川上