民家のちから
この仕事に就いて50年ほど。沢山の民家に出会った。
当初民家は時代遅れで今更と思っていたが、恩師の言葉や実際に「民家の再生」に携わると今まで気付かなかった素晴らしさを再発見したり、活かさなければと思う。それが今になって一層ことが強くなった。
特に時代を超えていくミンカのチカラは、精一杯の自助努力では追いつかないもので、遥かに自分の能力以上のモノを持っていると気づく。
ならばそれを知らしめたり、活かす努力をした方が世のためになるはずだ。
無意識で当たり前の民家と人々の生活の切実な繋がりを知るだけでも価値がある。
この仕事を通して、時代と共に精神や知恵は進歩どころか退化しているのではと思うようになって久しい。
民家の再生は新築以上の価値があるのは勿論、これを守り活かすのは過去を懐かしむのではなく、人類の輝かしい未来のためにやるべきことだと思う。伊藤ていじ先生の言葉が刺さる。
自分の能力以上の結果が出せる「民家再生」という行為はこれからも続く。
川上