インターンの学生が来ました
こんにちは。スタッフの両川です。
ここ信州もようやく朝晩が涼しくなり、山の方ではとんぼや赤い葉を見かけるようになったりと、少しずつ秋の気配を感じられるようになりました。
かわかみ建築設計室では、時々学生のインターンシップを受け入れています。建築学科の学生の中には、長期休暇などを利用して設計事務所にインターンに行き、実際の仕事や現場の空気に触れるという人が多くいます。弊社では特に募集期間などは設けておりませんが、学生から連絡があった際にその都度対応しています。
今回は信州大学の学生が8月から3週間インターンに来てくれました。彼にインターンのことについて話を聞いてみたので紹介したいと思います。
・簡単な自己紹介(趣味など)をお願いします。
兵庫県明石市出身、信州大学建築学科3年生の猪野将です。将来の夢は建築家です。趣味はサッカーで、建築業界で働くようになっても体を動かし続けていたいと思っています。
・かわかみ建築設計室に興味を持ったきっかけは?
明石高専で建築を5年間学び、明石市とは全く気候や文化の異なる信州で建築を更に学びたいと考え信州大学に編入しました。信州大学では保存再生論という授業で、古い建物を残す、再生させるための考え方について教わります。これまで設計課題やコンペで建築を提案してきましたが、どれも新築で、古い建物を再生させるという考え方に触れたことがありませんでした。再生建築に興味を持ったそんな時、明石高専サッカー部から信州大学院に行き、かわかみ建築設計室で働く東さんの話を聞きました。ホームページより、まさに今自分が最も学びたいところだと感じ連絡する決断をしました。

・インターン中の作業内容について教えてください。
鉛筆を使った手書き図面の練習と自宅の改築計画が主な作業でした。図面の練習では、室名や矩計図で使用する文字を一定の大きさ、太さ、力強さで書けるようになるため練習しました。練習の成果物として仕上表を書きましたが、パソコンの様に書いてからレイアウトを調整することが出来ず、書き始めるときから完成形を決めておく事が難しかったです。改めて手書きの難しさを体感しました。
自宅の設計では川上先生のテーマのひとつでもある住み継ぐを念頭に設計を行いました。先生直々にエスキスを指導して頂き、構法の理解やスケール感の体得にまだまだ時間が必要であると痛感しました。成果物として、一世帯住宅と二世帯住宅を計画し1枚の紙にそれぞれ鉛筆で清書しました。自分の家を建てることは一つの夢でもあったので、両親に2つのプランを見せて実施に向けた前向きな答えがもらえることを期待しています。
他にも展開図よりパースを鉛筆で描いたり、現場に連れて行ってもらったりしました。このパースは実際にお施主さんに見せるためのものだと聞き、初の仕事のお手伝いが叶いました。パースを見てのお施主さんの反応を私は確かめることはありませんでしたが、課題ではなく仕事をすることのやりがいや楽しさを少し体験することができました。

・インターン中に楽しかったことや勉強になったことがあれば教えてください
3週間鉛筆を持ち続け、たくさんの図面を練習しました。手書きで書くことが減っている時代に手書きを練習することは果たして大事なのかと疑問を持ったこともありました。様々なことを指摘され、技術をたくさん教えてもらい、確かに手書きは単なるツールの域を超えないのだと思います。しかしデジタルな線には設計者の思いは表れず、さも立派なものができているように見えてしまう気がしました。恐らく手書きはこれからも減り続け、私が働く頃には新たなデジタルツールが登場しているかもしれません。しかしお施主さんと真剣に向き合うその情熱や思いは手書きで表現するのと同じように持ち続けていかなければならないととても思いました。
作業している時、現場に連れて行って頂いた時、川上先生はいつでも楽しそうに建築について話してくれます。建築を再生することがどれだけ魅力的な方法で魅力的な空間となるかをお話や現場見学から教えて頂きました。私の地元には民家、町家はほとんど残っていませんが、そんな地でも再生という考え方は大切にしていくべきだと思います。先人たちが残してきた技術や文化、培われてきた良い空間ををしっかりと理解し、それを更に良くしていく、川上先生のような建築家になりたいと強く思います。
・その他に何かあればお願いします
長いようであっという間に時間が過ぎてしまいました。仕事の合間を縫ってスタッフの方とも話すことができ、進路相談にも乗ってもらいました。本当に温かく、面倒をみてもらい、感謝の気持で一杯です。長々と長文を失礼しましたが、本当にありがとうございました

最近の設計はパソコンのCADソフトで行うのが主流となっており、手で図面を書くという機会はほとんどなくなりました。手で書くのには辛抱強さがいると思いますが、猪野くんはインターンの間、根気強く(地元の言葉で言えば”ずくを出して”)取り組んでいる姿が印象的でした。私たちもとても良い刺激を受けました。ありがとうございました。