瀬戸内海にて
先日私的な用事で四国の今治に夫婦で出かけた。
地図で調べると瀬戸内海に面して沢山の小島と共に風光明媚な所であるが、めったに行けないので、この際建築も観て来ようと伊東豊雄建築ミュージアムに出かけた。
今治の離れ島、大三島にある。
瀬戸内海を連絡船で30分、タクシーはなくバスもめったに通らないので歩くことにした。
その日は穏やかな天気に恵まれ、小高い斜面一杯にみかん畑が眩しい。
働いっているお年寄りの夫婦に道を聞くと収穫していた大きなミカンを2つ貰った。
丘を超えると話題のミュージアムが岬の先に角を出すようにチョコンと建っていた。横には処女作シルバーハットが復元されて並んでいる。
貸切状態のそこはゆっくり見ることができた。
伊東豊雄の建物は勿論、住民との島での活動が展示してあった。日本一美しい島にするのだという。
あの3・11以後の想いや熱意が伝わってきた。そして特別な人の何気ない言葉が胸に刺さった。同じ信州人でよかったが…
何故ここなのかと学芸員に聞くと故郷の諏訪湖の景色に似て懐かしいからだとのこと。
歩いての帰り、道すがら斜面の擁壁の水抜き穴の全てに雑木が顔を出している!
まるで揃って覗き込んでいるかのようだった。
この日は1日鶴瓶の「家族に乾杯」の気分だった。
日本はいい所がたくさんあってそこに住む人は「ここが一番だ」と思うわけだと納得した。
川上