建築・景観・時間
先日JIA長野県クラブの仲間と白樺湖畔の高台に建つ大学の合宿施設の見学に出かけた。
築50年の当時モダニズムの話題の建築である。
場所を読み、風土と機能を考え、末永く愛される空間づくりを目指したことはすぐにわかった。特に風通しと白樺湖への目線は空間づくりの肝であったはずが、中に入って窓から見える景色は鬱蒼とした雑木林に遮られ、風も通らず、暑苦しい室内となっていた。
設計のお手伝いしたご高齢の建築家が、今なき恩師の考え方や設計の姿を振り絞るように話してくれたが…。
建物の魅力はコンセプトに沿って継承され、時間軸とメンテナンスが欠かせないことによって維持される。
帰りの下り坂の途中に案内の看板が汚く放置されていた。
誰もが喜んだと思う開発当時の気持ちはその後どうなってしまったのか…。
建築の力を信じる者として、切ない気持ちをそこに置いてきた。
川上