かわかみ建築設計室

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家を維持管理する?

誰でも家をつくる時、しっかり造って末永く使うことを考えるだろう。

ところが昨今は一世代限り、次の世代はまた建て替えるという25年周期の家造りもあたりまえとなっている。よしあしは別として、古いものを押し付けられるより自分で稼いだお金で自由につくり暮らしたいという意識の方が強いようだ。

ところが足もとを見れば、夫婦共稼ぎで元気で働いても生活費や子供の教育費で手一杯。
いよいよ家造りまでお金が回らなくなって来た。消費は美徳といわれ、建築業界はスクラップアンドビルドの時代が続いたが、現実にはそれすら難しくなっている。周りを見渡せば空き家だらけ。
新築よりもリフォームの広告の方が多いくらいだ。

私たちよりも上の世代は、親からもらった家を受け継いで、直しながら使い続けてきた。
仕方ない、という意識も多少あろうが、古いからこそかえって価値があるとし、守る役目として誇りと責任を持って維持管理につとめてきた。

ただし、直し方によってはもったいないと感じてしまうこともある。
屋根はともかく基礎にはまったく手を付けず、水回りや部屋の内装だけを新建材や新しい設備機器で覆い隠すことで、むしろ本来のよさが見えにくくなっているように思う。

新建材の玄関

今の若者はその辺りの感覚は、私の世代よりも敏感なようだ。
古きよきものから、直感的にオリジナルの価値を見抜いている。
前の見えない暗い時代ではあるが、このことに関しては希望がある。

今日もコンビニでコーヒーブレイクの際、隣の民家が新建材で覆ってあるのを見た。
よく見るとこの地方独特の土蔵を内蔵とした『建ぐるみ』の民家であった。

新建材で覆われた民家

波トタンで囲ってあるが、牛鼻だけは見える様になっていた。
古いけれど、こういう立派な伝統的な建物なんだと言っている持ち主を想像した。
何とか直してあげたいと思うのは癖かもしれない。

川上

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松岡フラスコ
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