3軒の民家再生
令和4年の暮れに何とか3軒の民家再生工事が終わった。
2軒の本棟造と1軒の大軒造である。
外観は古い民家が少し綺麗になっただけに見えるが、内部はガラッと変わった。
基礎や屋根は勿論、お座敷以外のプランと共に断熱化・耐震化・水回り・使い勝手などを見直した結果、古くて新しい令和の民家再生として蘇った。
とはいえ40年前からの手法で基本的に同じことの繰り返しである。
そして何時も思うことは、昔はよくもまあ隣と同じ様な造りの家を建てていながら、各家庭の事情で多様で個性的な生活を送ってきたものだと感心する。
いにしえびとの根底には没個性と感謝の気持ちが無意識のうちにあるからではなかろうか?
ところで建築のかたちや構造はその土地の自然や生産風土により「なるほど!」の完成度で合理的で無駄もないから素直に従う。但し長い間に傷んだり不具合な箇所はしっかり気を使って目立たぬ様に直す。
それだけで十分だと関わる度に自覚する。
建築の「進歩」は目指しているが、民家は「循環」という作法が第一だと思う。
令和5年の新年に先立ち、自分の力不足を補ってくれるのはいつも民家であり、間違いがなくありがたいものだと再確認し、もう少しの現役でと決心するものである。
川上