昭和初期の電力事情と建築
先日、富山県の黒部渓谷に行きました。
黒部渓谷を走る黒部渓谷鉄道は、元は黒部渓谷での水力の発電所建設の為の輸送手段でしたが、今は渓谷の観光の用に供していて、トロッコ電車の愛称で親しまれています。
黒部ダムと聞いて思い出すのは、幼い頃に見に行った黒部川第四発電所でしたが、トロッコ電車に乗ると、その下流にある黒部川第三発電所や黒部川第二発電所と、美しい渓谷の景色を見ることができます。
(黒部渓谷とトロッコ電車)
(黒部川第二発電所 山口文象)
始発駅の宇奈月駅から、黒部川第三発電所がある終点の欅平駅まではトロッコ電車で1時間20分かかりますが、冬季は雪崩の被害を避けるために鉄道を撤去する部分があるため、徒歩で6時間かけて上流の発電所まで向かうそうです。
建設当時の苦労を考えると、頭が下がる思いです。
(かわかみ建築設計室の盤)
黒部渓谷鉄道は大正12年から軌道の開削が始まったそうです。現・かわかみ建築設計室(旧・松岡医院)は昭和2年の建物ですので、そんな電力の需要が増えてゆく時代の雰囲気の中建てられたことに気づきました。
石田