二つの三角屋根
東京の国立駅の近くで民家風のレストランの計画をしていて、
その打合せで現場に伺った。
国立駅舎はトンガリ屋根が印象的で、
正面広場から真っ直ぐに伸びた桜並木道と相待って何ともいえぬ風情であった。
駅舎の建て替えによって取り壊す計画が、
市民の熱意により記念館として新駅舎の前に移築復元したものだ。
ボクも及ばずながら建築家協会の保存問題委員会の一員として
この駅舎の保存運動をした。当時を思い出す。
奇しくも今回レストランのお施主さんの先代が駅前通りに桜を植えたというし、
今の当主が駅舎の保存に多額の寄付をしたという。
素晴らしい出会いではあるが責任の重さが加わってくる。
打ち合わせに伺った駅前はちょうど桜が満開でアイストップの駅舎と共に花見ができた。
地元松本では桜の開花宣言が出たので、数か月前に建て替えした教会の様子を見に行った。
奇しくもトンガリ帽子の屋根の正面が国立駅舎のそれと似ていて驚いた。
ともかく敷地内にある桜が咲き始めである。
今年は特別にも早いが、それでも東京とは2週間程遅い。
時はコロナで大騒ぎであるが、わずかに何かホッとした時間を貰った。
川上