土壁
相変わらず民家再生の仕事を続けている。
昨今の地震続きで地震大国であることを痛感している。
現地の映像は民家がかなり壊れてしまい地震に弱いと思われがちだが、実は建物は傾いてもなかなか潰れはしなくて倒れないのである。
今の耐震基準は壁や床をガチガチに固めて動かなくして丈夫にすることにしているが、もう一つ、揺れても傾いてもズレても壊れないという方法があって、コレはこの国の伝統技法で納得の工法なのである。
日本の家造りの基本は柱を建てて屋根をつけ、柱の間を壁として木や土で塞ぐ平面の『間』で出来ている。そして全て土に還るという循環である。無意識で見事な自然との調和がある。
今はこれを棄てている家造りだが果たしてこれでいいのか・・。壁はサイデング、屋根はガルバリウムのトンガリ帽子の家でいいのか・・。
使い続けることだけがいいとは言えないが、果たして造ったり壊したりを続けていていいのか?。
今年も柱が見えて土壁で軒の長い家を造っている。そんなに高価な造りかたではない。夏は涼しく、冬は暖かいと住人の誰もが言う。
断熱材の性能の良し悪しより、基本的な造り方を考えてもらいたいものだ。
川上