かわかみ建築設計室

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「古材文化の会」全国集会─民家住宅の確立に向けて

先週末、京都を拠点に活動している「古材文化の会」が主催する第20回の全国集会が松本で開かれた。
趣旨は、地域の風土や歴史に根ざしながらも失われつつある民家住宅を再定義しようというもので、民家再生の創始者である降幡廣信氏を中心にした意見交換会と、茅野出身で建築家・建築史家・東大名誉教授の藤森照信氏による基調講演があるという。

全国から会員を中心に50人程が安曇野の民家や松本城などを見学した後、中町の蔵シック館に集まった。

私は会員でないが、こんな機会はめったにないと仲間にも呼びかけ、私も同席させてもらった。

ところが予定通りに藤森先生は来ているが、時間になっても集団が到着していない。
かなり遅れていたらしい。
待ちくたびれた先生は一人で町を歩いているという。
慌てて先生を探したら中央民藝ショールームにいた。

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時間を稼ぐため、町を案内したり今日の趣旨を説明したりした。

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遅れること約一時間、会は始まった。
趣旨に沿ってこれからの民家住宅のあり方を真剣に話し合った。
降幡氏からの提案は、主に形や材料、造り方といった具体的な要素についてである。

その後ようやく藤森先生の講演が始まった。
先生は縄文時代まで遡りながら、日本とフランスの茅葺民家を紹介してくれた。かつての茅葺民家の屋根のてっぺんには、あたりまえに草が植えられていたそうだ。明治時代の箱根宿の写真は、まさに芝棟だらけの茅葺民家村のようであった。

なぜそうなったのか?

民家や伝統建築をやっている人はどうしても理屈で説明をつけたがるが、どれもこれも無理矢理のこじつけで、合理的な説明はつかないという。民家とは形やスタイルや技で定義されるものでなく、無意識に受け継がれてきたものが結果的に地方性を醸し出したのであって、それが何なのかは分からないけれど、そこには人が無意識に求める心地よさや、懐かしさや心の拠りどころとなるものがあるのだ、とのお話であった。

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この指摘は根源的な問題提起で、これからの民家住宅を目指す会員にも衝撃を与えたようだった。

とにかく、今は日本中どこまでも工業化住宅の同じ風景が続くことの問題を共有して、今後のあり方を考える始まりであることは確かだと思う。

川上

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