かわかみ建築設計室

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古材のチカラ

木造建築は用と美の空間造りであろうが、文化としてみれば恐らく日本が最も優れているのだろう。

世界中に様々な木造はあるが、其々風土に根着いて長い時間をかけ醸成され、その土地のカタチとして今に至っている。

しかしこの国のように木との付き合いが深く、鋭く、多様であったものは他の国にはないだろう。
建築における『和』の文化を強く意識して来て、ますますその素晴らしさに圧倒される。

中でも古材である。木は二度生きると言われる。

地面から生えて成長して伐採されるまでが1度、建築物として建物を支えて2度である。
現在目にする木造建築は2度目を生きて続けているのである。

用材としての木は伐採した時より時間とともに強度を増し、その後ゆっくり落ちていく。木には命があるということだ。

例えばヒノキは、条件がよければその後200年をかけて強度を増していき、さらに1000年以上も用材として使えるとされている。我々が目にする民家の古材はせいぜい100年~200年だから、人に例えれば成人にも達していない若者なのである。

これからの役目を果たすべく時間とともに味が増し、何とも言えない表情を見せてくれる。
その魅力とは、新材では出ない安心感や存在感である。

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長野県安曇野市の古民家再生のリノベーションの住宅
民家は人の都合で造られ魂を吹き込まれるが、皮肉にも人の都合で壊されていく。この時代、あまりにも価値観の変化が早すぎる。あたかも若者の命を取るようで悲鳴に聞こえる。

プランや生活様式は時代とともに劇的に変わった。それに対応することは現代の使命であろうが木の建築文化は我々の宝である。未来に向けての木造建築を考えれば、たとえ新しい木材で造ったとしてもそこに僅かでも古材が使われているだけで空間がどんなに豊かになっているかを感じた経験があるはずだ。

古材との共存を切に望むものである。

川上

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