建築事例
池田町O邸 民家再生
余生を生きる
【住宅・別荘(リノベーション)】
定年まで都会でサラリーマンとして働いたので、これからは山の見える古民家で静かに余生を過ごしたい。と、アイターンを決断した夫婦からの相談である。
松本と糸魚川を結ぶ塩の道沿いの里山麓に、広いお屋敷が佇んでいた。生垣の間から東に向かって中に入ると、正面には方形瓦葺きの昭和中期の建物が、左に渡り廊下と玄関と水廻りが、その先には正式な式台玄関と2間続きの座敷がある。振り返ると、北アルプス山脈の眺望がパノラマのように広がっている。場所、広さ、質といい、これ以上のものはないと思われた。
聞けば由緒あるお屋敷だという。売りに出ていて地元の人たちも心配していたが、良い人にわたってほっとしたとのこと。文化の香り豊かな既存はなるべく補修して残し、不都合な場所は思い切ってつくり直す計画とした。幸いにも地元で腕の良い伝統的な工務店も見つかった。
具体的には、玄関、・寝室・離れ座敷とLDKは再生し、両者をつなぐ水廻りとともにコンパクトにつくり直した。特に昭和中期の増築と思われる方形建物は、広いワンルームのLDK(リビング・ダイニング・キッチン)として大幅に再生。眺望の確保はもちろん、床暖房と暖炉も備わって、住み手に渡すことができた。これも作り手である職人の技と心のおかげである。
(…『信州の建築家とつくる家18』2023年より)
松本と糸魚川を結ぶ塩の道沿いの里山麓に、広いお屋敷が佇んでいた。生垣の間から東に向かって中に入ると、正面には方形瓦葺きの昭和中期の建物が、左に渡り廊下と玄関と水廻りが、その先には正式な式台玄関と2間続きの座敷がある。振り返ると、北アルプス山脈の眺望がパノラマのように広がっている。場所、広さ、質といい、これ以上のものはないと思われた。
聞けば由緒あるお屋敷だという。売りに出ていて地元の人たちも心配していたが、良い人にわたってほっとしたとのこと。文化の香り豊かな既存はなるべく補修して残し、不都合な場所は思い切ってつくり直す計画とした。幸いにも地元で腕の良い伝統的な工務店も見つかった。
具体的には、玄関、・寝室・離れ座敷とLDKは再生し、両者をつなぐ水廻りとともにコンパクトにつくり直した。特に昭和中期の増築と思われる方形建物は、広いワンルームのLDK(リビング・ダイニング・キッチン)として大幅に再生。眺望の確保はもちろん、床暖房と暖炉も備わって、住み手に渡すことができた。これも作り手である職人の技と心のおかげである。
(…『信州の建築家とつくる家18』2023年より)