…代替わりした若主人は、思い切って少し離れた別の土地に「古くて新しい旅館」を計画したのでした。コンセプトは、地域に合って目立たず、楚々として いて昔ながらでありながらどこか新しさの感じるもの、家族だけでまかなえるもの、出来れば民家や古材を使いたいというものでした。
5年の歳月の間に、移築再生できそうなぴったりの大きさの民家が木曽福島や松本で見つかり、かたちのいい土蔵も見つかったのです。さらに以前の納屋も管理自宅として使うことができ、都合４棟が移築再生されました。
山里の静けさと、民家のしっとりとした風情、それが決して古くさくなく、何ともモダンな空間をつくりだしています。なつかしさと新しさの融合でしょう。これがご主人の考えていた「古くて新しい」しつらえです。
（…『住み継ぐ家の物語』より抜粋)
※降幡建築設計事務所との協同
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